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Everly Brothers プロトタイプ 1962年製 Everly Brothers プロトタイプ 1962年製

ウォルナット・フィニッシュで70年代J-200のような固定ブリッジ(しかも、すかし彫り入り)という珍しい仕様のEverlyBrothersです。
17度ヘッド、uinion made無しのラベル、細くて背の高いブレイシング等が60年代前半モデルの特徴で、シリアルナンバーから1962年製だと判ります。
EverlyBrothersモデルは1962年から1972年までに488本製作され、このギターと同じ初年度は僅かに2本となっています。
(ジミー・ペイジが1962年製を1本持っているとか)
そして、このギターにはボディ内にArturo Valdezのスタンプがあります。
Arturo Valdez氏は、1960年代から活躍している有名ミュージシャン御用達のギター製作&リペアマンです。
氏のリストには、ジョン・レノンのD-28やジョン・デンバーのギルド12弦のリペアなどと並んで、フィル・エヴァリーのEverlyBrothersプロトタイプをウォルナットにリフィニッシュした記録が残っています。
巨大なピックガードにより鳴りは今ひとつですが、固定式ブリッジということもあり、J-185譲りのバランスの良いサウンドです。








Everly Brothers 1963年製 Everly Brothers 1963年製

上記の初年度2本に引き続いて翌年に制作された物です。
この年は102本製作されたので、たまに市場で見かける事があります。
この時期は、このようなブラック・フィニッシュ以外に、ナチュラル・トップでサイド&バックがチェリー・フィニッシュという物もあります。。
もっとも、一般的に、EverlyBrothersモデルと言われてイメージするのが、このブラック・フィニッシュ・タイプですね。
まだ、背が高く細いブレイシングのため音も良いので、この時期のブラック・フィニッシュは1本持っておきたいところです。











Everly Brothers 1968年製 Everly Brothers 1968年製

1968年にモデルチェンジし、ピックガードが小さくなり、トップがナチュラルでサイド&バックがウォルナット・フィニッシュとなったEverlyBrothersです。
モデルチェンジの甲斐なく売れ行きは伸びず、Everly Brothers全体の生産本数488本のうち約180本がスモール・ピックガードだと言われています
そのお店には1966年製も置いてあったのですが、店員が「Everly Brothersのイメージは薄いですが、ピックガードが小さい方が音が良い」とこちらを薦めてくれた。
弾き比べてみると、確かに若干音が良かったし値段も安かったのでこちらを購入しました。
厳密に言うと、63年頃までの初期の物はブレイシングが細く軽量なので(ネックも太い)、ピックガードが大きくても音がよいです。
ただし、数も少なく市場にはあまり出回りません。
よくみかける(と言っても、他のモデルよりは数が少ないのですが)60年代中頃のモデルが、大きいピックガードで太いブレイシングなので音が悪いです。








SJ−200N 1951年製 SJ−200N 1951年製

楽器屋さんで目に止まってしまいました。
割れの修理跡があり安くはなっていましたが、それでもSJ−200のナチュラルフィニッシュなので、かなり高価です。
悩んでいたら、店員さんから「最近、出物がほとんどなくて、これを逃すと手に入らないかも」という言葉が・・・これまで何回も「あの時買っておけば」という経験をしている者には、トドメの一言となりました。
後で調べたら、SJ−200は約1,000本作られ、そのうちナチュラルは約300本、確かに入手できるチャンスは少ないみたいです。
未だボディ厚が薄い年代のため、50年代後半の物に比べるとパワー感では劣りますがバランスが良く、コードを弾いた残響が気持ち良いです。
このバランスの良さはJ−185に通じるなぁ、と思ったのですが、ひょっとするとJ−185との差別化のためにボディ厚を増やしてサウンドキャラクタを変えたのかもしれませんね。









J−200N 1955年製 J−200N 1955年製

一見するとエバリーブラザースに間違えそうな大きめのダブルピックガードが印象的なJ-200です。
シリアルナンバーでは1955年製ですが、1960年代後半(1967〜8年?)にギブソン社でカスタマイズされたそうです。
ピックガードは、エピフォン・エクセレントのものと同じイーグル柄が描かれたバインディング付きで、ネジ止めされています。
また、ペグはメタル・キーストーンつまみのクルーソン、ブリッジはチューン・O・マチックという60年代の仕様で、フレットも太めのタイプです。
チューン・O・マチック・ブリッジやダブル・ピックガード(それもネジ止め)といった仕様は好みではないのですが、セールで凄く安くなっていたので、試しに弾いてみたら良かったので購入しました。
表板の振動を遮るものが多いので、さすがに指弾きでは反応が今一つですが、ピックで弾いた場合には音量やサスティーンが結構あります。
音質的には50年代のものに近く、今までチューン・O・マチックの音質だと思っていた60年代の音質は、それ以外の要因も組み合わさっていることが判りました。








J−200N 1958年製 J−200N 1958年製

この時代のJ-200は、1952〜1954年製のSJ-200とはピックガードとラベルが異なるだけで、音質的にはそんなに差が無く、名前にこだわらない人にはお買い得です。
(むしろ1952年以前のSJ-200はボディ厚が薄いので、それ以降の物と音質的には差が大きい)
戦後1947年に製造再開してから、チューンOマチック・ブリッジに変る1961年まで間、SJ-200&J-200の製造本数は約2200本(ナチュラルは約750本)。
結構市場で見かける割には、生産本数が少ないです。
1958年当時の価格は400ドルで、J-185Nが250ドル、SJNが177.5ドル、J-50は145ドルです。
現在のJ-200と他機種の価格差を考慮してみると、特別に手をかけて作られていたかが分かります。
また、この頃のSJ-200やJ-200は、有名スターが愛用しており、まさにキング・オブ・フラットトップの愛称にふさわしい貫禄があります。
現在の売買価格からすると、一見高価に思いますが、実力を考えるとコストパフォーマンスはすごく高いのではないでしょうか。
サウンドについては、ボディ全体が鳴っているという感じですごく音量があります。
やはり、バランス的には中低音が強いですが、抜ける音なのであまり気にならなず、厚みのある音といった感じで、意外とコードストロークだけでなく、フィンガー・ピッキングにも合います。





J−200N 1964年製 J−200N 1964年製

レアなダブル・ピックガード仕様のJ-200です。
1950年代から、ダブル・ピックガード仕様は存在しているようですが・・・おそらく、カスタム・オーダーだと思われ本数は少ないです。
もっとも、値段が高いけど、通常のモデルとピックガードが増えるだけなので、鳴りが悪くなる以外、音に違いはありません。
ところで、このピックガード、鳴りが悪くなる事を考慮したのか?通常のモデルと異なり若干小さめで、良く見ると彫られている模様も違います。
そのため、後から左用のピックガードを増設して、ダブル・ピックガード仕様にしたものは、バレてしまいます。
たぶん、後からピックガードを増設したものは、さらに鳴りが悪いと思われます。









J−200N 1968年製 J−200N 1968年製

この時代のチューン・O・マチックのブリッジは好きではないのですが、面白い仕様なので購入しました。
トップはナチュラル・フィニッシュですが、サイド&バックはウォルナット色に着色してあります。
(結構トラ杢が入ったメイプルなので、もったいない気がします)
この年代の物によく見られるように、ブリッジの裏側には、トップ・ミュートといわれる物が組み込まれています。
これは、サイドから中空に浮いたブレイシングが取り付けられてあり、そこからダンパーを上下することにより、ブリッジ周辺のトップの振動を抑制することができる機構です。
また、これに対応するように、サウンドホール上側のブレイシングは省略され、ネックブロックの上側が延長された構造になっています。。
ボディ厚は50年代後半のものよりさらに深くなり、鳴りは悪いですが(特に高音の抜けが駄目)、独特なコンプレッションのかかったサウンドで、パワー感は感じられます。
この年代のJ-200は、ビートルズ、ローリングストーンズ、ザ・フー、ボブ・ディラン等に使用された事で有名ですが、まさに「ヒア・カムズ・ザ・サン」とかのサウンドがします。







J−200N 1970年製 J−200N 1970年製

基本的には60年代後半と同じなのに、値段がはるかに安かった1970年前半のJ-200です。
1970年中頃にモデルチェンジしてしまうので、60年代後半より希少価値という点ではこちらの方が高いと思います。
(1970年のJ-200製造本数は255本なので、恐らく1970年前半の仕様のナチュラルは50本もないと思われます)
60年代後半との違いは、ブランド・ロゴ、ヘッド裏のmade in USAの刻印、J-200と書かれたトラスロッド・カバー位です。
未だ、ネック裏のボリュートも無く、オレンジラベルのままです。
なお、このギターのブリッジはアジャスタブル・サドル部分を埋めて、1970年後半モデルの様に固定サドルが付けられていますが、そっくりな木を使って埋め後が分からない程に仕上がっているので、工場出荷前に変更されていた可能性もあります。
固定サドルのため、音量やサスティーンは充分ありますが、低音がブーミィーで高音はカラッとした軽い音です。
上記の50年代の物と比べると、音の厚みやバランスで劣りますが、むしろJ-200らしい音といった感じです。







J−200 1977年製 J−200 1977年製

ルックスがあまりのもカッコ良く存在感バッチリなので購入したブラック仕様のJ−200です。
この年代のブラックのJ−200は、エルビス・プレスリーが晩年愛用していたので有名ですが、数が少なく、ほとんどお目にかかりません。(後年ギブソンがこれを元にエルビス・プレスリー・モデルを生産しました)
黒なので小さく見えるのかと思ったのですが、測ってみると通常の17インチより若干小さく16.5インチしかありません。
70年代のダブルXブレイシングとボディが小さいせいで音量はいまひとつですが、普通のJ−200に比べると低音が押さえられバランスの良い音です。
(余談ですが、戦前のSJ−200もダブルXブレイシングです)
なお、この時代のブリッジはダヴやヘリテイジと共通の物を使っています。









J−185 1951年製 J−185 1951年製

1951年から1958年までの8年間しか製作されませんでしたが、ギブソンのフラット・トップでは評価の高いモデルです。
これは1960年代後半にギブソンの工場でオーバー・ホールを受けたということで、比較的安く購入できました。
ブリッジは当時の物におそらく交換されていますが、塗装等に交換した痕跡がほとんど判りません。
ボトム・ベリー・タイプのブリッジは1950年頃までと1960年代後半から(その間はアッパー・ベリー・タイプ)なので、最初からボトム・ベリー・タイプだったのかもしれません。
同じメイプル製で16インチ幅のドレッドノート・タイプのダヴと比べると音量、低音で劣りますが、バランスが良く抜けの良い音です。










J−185N 1957年製 J−185N 1957年製

J−200やEverly Brothersも複数揃ったし、上記のJ−185も気に入っていたので、もう一本欲しくなってしまいました。
そこで、上記のモデルと違った通常のアッパー・ベリー・ブリッジを購入しました。
どうせなら、色もナチュラル・フィニッシュと思って、これを選びました。
もっとも、音は上記の1951年製の方が繊細な感じで良いです。
とはいえ、バランスが良く抜けの良い音は一緒なので、素晴らしいギターです。










J−100 1972年製 J−100 1972年製

人気がなく製造中止となったエヴァリー・ブラザース・モデルに代わり登場したのがこのJ-100です。
しかし、これも人気が出なく1972〜75年に291台が制作されただけで製造中止となっています。
マホガニー・ネック、サイド・バックがマホガニーでトップはシダーという構造のため、ボリュームがありながら繊細な音がして、フィンガーピッキングに最適です。
シンプルなデザインもあり、派手で豪快なコード・ストローク向きのJ-200とはギャップがありすぎ、J-200の廉価版を期待するとがっかりします。
1939〜1943年のSJ-100(138本制作)、1951〜58年のJ-185(918本制作)、1962〜1972年のエヴァリー・ブラザース(488本制作)
ギブソンのラインアップでJ-200の下を担う機種は、良いギターなのに、どうしても人気が出ないで短命です。









LG−2 1947〜49年製 LG−2 1947〜49年製

シリアルナンバーはありませんが、バーナーロゴ(1947年まで)が無く、スクリプトロゴ(1949年まで)だけのLG−2です。
バーナーロゴのついている時代の物は高価ですが、実は戦時中および戦後すぐなので、良い木材を使っておらず、職人も戦争に行っていたりして、品質にはかなり当たり外れがあるので注意が必要です。
そういえば、LGシリーズ自体も、木材不足のため幅の狭い材料で作れるように設計された、という説があります。
なおLG−2のスキャロップブレイシングは50年代中頃までです。











LG−2 3/4 1957年製 LG−2 3/4 1957年製

3/4サイズのアコースティックです。
最近流行のトラベルギターの原形とも言えますが、本来は子供や手の小さい人用として作られたものです。
しかし、当時は通常のLGー2と同じ値段で売られていたことからも分かるように、作りは手を抜いていません。
通常のLGー2との大きさ以外の違いは、ラダーブレイシングの採用と3プライのバインディングです。
サイズが小さいので低音は出ませんが、サウンドは思ったより音量もあり、なかなか良いです。
個人的には、このギターの丸みを帯びた優雅なデザインは素晴しいと思っています。
反対にスクエアショルダーのデザインはなんとなく好きではありません。








L−00 1937〜42年製 L−00 1937〜42年製

これもシリアルナンバーはありませんが、バーナーロゴ(1942年から)が無く、サンバーストの中央部分が広い(1937年から)L−00です。
かなり弾き込まれていますが、音は最高です。
Lー00は当時のギブソンで一番安いギターですが、さすが戦前のギブソンは違います。
ところで、Lー00という名称は、マーチンの12フレットジョイントの00シリーズとサイズがほぼ同じということと関係があるのでしょうか?











L−1 1926年製 L−1 1926年製

割れの修理跡がある等かなりボロボロでしたが、チューニングしようと音を出してみたら、これぞブルースという素晴らしい音でビックリしました。
スプルーストップ、メイプルのサイド・バックですが、フラットトップでアーチバック、ブレイシングもピックギターのようなパラレル型とかなり特殊な構造です。
もともとL−1はピックギターでしたが、1926年にモデルチェンジして、L−0とともにギブソン初のフラットトップとしてデビューします。
両者は、Lー0がパーフリングの本数が少なく、フィニッシュが違うだけでした。
1年後の1927年にフラットバック化されるとともに、L−0はオールマホガニー製、Lー1はトップがスプルース、サイド・バックがマホガニーと差別化されます。
このフラットバックの方はロバート・ジョンソンの使用で有名ですが、サウンド的にはL−00等に近くなり個性が薄れたように思います。









L−1 1928年製 L−1 1928年製

こちらは、ロバート・ジョンソンが使用していたのと同じ1928年製のL-1です。
残念ながらブリッジは交換してあります。
フラットバック化された当初は、上記のアーチバックと同じフィニッシュでしたが、1928年からサンバーストになります。
その後、1929年には指板にバインディングが付き、サウンドホール周りのバインディングが廃止されます。
この時代には、まだXブレイシングでなく、ファンブレイシングになっています。
サウンド的にはL-00に近く、ボディの小ささや12フレットジョイントという仕様なのでLー00より若干使い勝手等で劣ります。
もっとも、ルックスはL-1の方が個人的には好みです。








CF-100E 1951年製 CF-100E 1951年製

P-90ピックアップを搭載したシングル・カッタウェイのCF-100Eです。
ジャクソン・ブラウンが使っているのを見て購入しました。
ボディサイズはLG-2と同様でカッタウェイがあるのに、J-160Eよりアコースティックな音がします。
固定サドルや、ボディ内のブレイシングが通常のアコギと同じせいかもしれません。
せっかくカッタウェイがあるのに、初期モデルのため指板が19フレットまでしかありません。











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