ギブソン・ピックギター

L−2 1919年製 L−2 1919年製

ラベルによると1919年製のL−2なのですが、資料では1907〜24年の期間はL−2は製造中止となっています。
この年のカタログにもL−1、L−3、L−4は載っているのですが、L−2は載っていません。
仕様的にみるとL−3に酷似していて、フィニッシュの色合い、パーフリングの幅、ブリッジの形状が若干違う位です。
この程度だと個体差の範囲なので、単なるラベルの記述ミスとも考えられます。
未だトラスロッドが無いので極太の三角ネック、高さ調整の無いブリッジ、ピン式のテールピースで、使い勝手は悪いですが、既にサイド&バックはフレイム・メイプル製になっており、音は味わい深いものがあります。











L−3 1928年製 L−3 1928年製

ラウンドサウンドホールの物はよく見かけますが、オーバルサウンドホールは1927〜28年だけの特徴です。
1902年から製造されていますが、初期の物はバック&サイドはウォルナット製で、その後20年代半ばまではバーチ製ですが、この時期にはメイプルになっています。
ロバート・ジョンソンで有名な姉妹機種のL−1やL−2はフラット・トップになったのですが、L−3はアーチド・トップのまま1933年に製造中止になります。
サウンドは独特で、少しマンドリンに近い印象を受けます。
また、サイズはコンパクトながら意外と大きな音が出ます。











L−4 1927年製 L−4 1927年製

当時のギブソンの主力機種style-Oは、1908年にアーチストと呼ばれるスクロールボディにモデルチェンジしましたが、その特異な形状は好みが分かれるところでした。
そこで、1908年以前のstyle-Oとほぼ同じ形状で、1912年に登場したのがLー4でした。
当初は、トラスロッドもなく、一体型ブリッジで、テールピースもピンタイプでした。
その後、一時的にスネークヘッドと呼ばれるヘッド形状になったり、サウンドホールホールの飾りもシンプルになったりしますが、オーバルホール時代の最終バージョンではこのギターのように元に戻されています。
同時期の他モデルに比べると、未だ1910年代の感触を残しており、ネックが太いVシェイプで11フレットジョイントなので、かなり弾き辛いですが、音は大きく明瞭で良いです。










L−4 1930年製 L−4 1930年製

ラウンドホール時代のLー4です。
発表当初はstyle-Oの影響を受けたオーバルホールのデザインでLー5登場以前の高級機種ですが、1928年にラウンドホールになると作りがチープになり、1933年にLー7の影響を受けたデザインのfホール中堅機種へと推移していきます。
ボディーは一貫して削りだしスプルースのアーチトップ、メイプルのサイド&バックです。
ラウンドホールの物はfホールの物に比べると音がストレートで音量もあるように感じられます。
なんとなく、後に登場するSJ-200を思いださせるデザインですが、SJ-200に廉価版マホガニー・ボディーのSJ-100があったように、同じデザインの廉価版マホガニー・ボディーのLー75が少し後に発表されますが、現在はLー75をLー4と混同して売られている事が多いです。










L−5 1940年製 L−5 1940年製

ピックアップ(おそらくディアーモンド)を付けた跡があり、さらに、ペグ、ピックガードも交換されているという有り様なので、安かったL−5です。
とはいえ、戦前のブロンドは超貴重!
ブロンドフィニッシュは、1939年にオプションになり、戦争で製造中止になるまでトータルで36本しか製作されませんでした。
ナチュラルは木目がはっきり判るので素材も良い物を使っており(バックのトラ杢は超強力!)、下記のL−7に較べると、サイズは同じなのに、音が大きく、レスポンスが良く、抱いた時にしっくりくるのが不思議です。











L−7 1936年製 L−7 1936年製

ギブソンのfホールアーチドトップの中堅機種です。
1933年から1972年まで形をいろいろと変えながら製造されました。
この年代の物は、ヘッド、フィンガーボードに花のインレイが入っていて一番見た目が美しいと思います。
また、構造的にも、この年代だけXブレイシングを採用しています。
サウンドも乾いた良い音がします。









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