木材図鑑


・コア
カマカといえばやはりコア。木部はオールコアという物も多い。
koa
[別名/俗名]ハワイアン・コア
[産地]ハワイアン・コアの名前どおり、ハワイ諸島のみで生育。(フィリピン・コアは別種)
[樹木特性]散孔材。直径は50cm程度、樹高は10数m。心材は暗い赤色。辺材はダークブラウンから薄茶色のコア・カラーと呼ばれる褐色の色調。年輪ははっきりしており、黒いライン状の班がよく見られる。木理は通常は通直。肌目は中庸。重さは中重量。稀に派手なフレイム系の杢など、特殊な木理が見られる。乾燥は良好だが、収縮はかなり大きく、割れが生じやすい。また心材と辺材とで繊維密度に差がある。近年ハワイでは樹木保護のため出荷を制限。このため米国外では入手が困難。
[仕様箇所]ボディ、ネック、指板、ブリッジ
[比重]0.83
[平均的音質特性]マホガニーに似た感じもあるが、独特のトーンキャラクターを持ち。特に軽量なものは高域の伸びも悪くない。全体としては中音域が豊かな印象。


・マホガニー
カマカには、一部にマホガニー製のモデルもあった。なお、Keikiはフィリピンマホガニーを使っている。
mahogany
[別名/俗名]キューバ・マホガニー、ホンジュラス・マホガニー、アフリカン・マホガニー
[産地]中米及び南米北部:東南アジア:中央アフリカ大西洋岸及びインド洋岸
[樹木特性]散孔材。樹高40〜45m。直径1.8〜2.4m。マホガニー・カラーと呼ばれる独特の濃赤褐色。肌目は中庸。木理は通直で、通常は地味でこれといった木目はないが、ごく稀に交錯、波状(フレイム)、渦状(キルテッド)木理を持つ物もある。乾燥、加工性は非常に良い。重さは中庸。強さは中庸。樹種により特性も多少異なる。キューバ・マホガニーは最高質であったが戦前に枯渇し、現在は中南米産のホンジュラス・マホガニーが楽器用としては最も安定、良質。しかし、これも資源が乏しく高価となってきたため、アフリカン・マホガニーが代用として使われる事が多い。フィリピン・マホガニーは、市場価格はやや安いが質量にばらつきがある。
[仕様箇所]ボディ、ネック、ブリッジ
[比重]0.50〜0.60br> [平均的音質特性]豊かな中低域。暖かなトーン。しかし高音域が弱いため、全体的に丸く甘い印象でするどいアタック感が不足する。
[類似種]セドロ、別名スパニッシュ・シダー、メキシカン・シダー
※フィリピンマホガニーはフタバガキ科でラワンに近い別種である(マホガニーはセンダン科)が、見た目が良く似ており比重もほぼ同じため、マホガニーとして安い楽器によく使用されている。


・モンキーポッド
この木なんの木のCMで有名なモンキーポッド。猿がその実を好んで食べることから付いた名。ハワイの民芸品のお皿やお椀でもよく目にする木材である。
カマカでは、昔、コアの供給が足りなくなった時に、モンキーポッドが代用で使われた。
monkypod
[別名/俗名]レインツリー 、サマン 、アメリカネム
[産地]中南米、西インド諸島、フロリダ、ハワイなど。東南アジアや太平洋地域でも植栽されている。
[樹木特性]散孔材。樹高25m。直径1.5〜3m。辺心材の区分は明瞭で、辺材は灰白色、心材はチョコレート色から褐色。しばしば濃色の不規則な縞が現れる。木理は通直ないしやや交錯し、肌目はやや粗い。両逆目が激しいのでカンナ加工はやや困難だが、歯切れは良好。耐久性は強い。
[仕様箇所]ボディ、ネック、指板、ブリッジ
[比重]0.53〜0.61
[平均的音質特性]マホガニーやコアと似ている中域の豊かな音であるが、やや輪郭がぼやけた腰砕けな感じの音。


・ローズウッド
指板として良く使われるローズウッドであるが、カマカでは1960年代から多く使われるようになった。
rosewood
[別名/俗名]インディアン・ローズウッド、紫檀
[産地]インド南部及びジャワ
[樹木特性]散孔材。樹高25m。直径0.3〜1.5m。
[仕様箇所]指板、ブリッジ
[比重]0.85〜0.93
[平均的音質特性]指板材として十分な堅さを持つ高密な材。エボニーより導管が太いため吸水性に優れ、プレイやビィリティの高い指板である。エボニーやメイプルに比べると、やや甘い音質になる。


・ブラジリアン・ローズウッド
カマカでは、古い物の指板に稀にブラジリアン・ローズウッドが使われている事がある。
jacaranda
[別名/俗名]現在ではハカランダという呼び名の方が一般化している。
[産地]ブラジル北東部:バイヤ州、リオデジャネイロ州、エスピットサント州、ミナイゼラス州に散在。老齢の樹木は少なくなった。ワシントン条例により、ブラジルからの輸出は92年に禁止となった。
[樹木特性]散孔材、樹高40m。直径0.5m。心材と辺材の区別がきわめてはっきりしている。材は紫褐色からチョコレート色で、濃赤褐色の変化の多い美しい縞がある。油分が多くワックス状の感触を持つ。肌目は中庸。木理は通直。
[仕様箇所]指板、ブリッジ
[比重]0.75〜0.90
[平均的音質特性]音質的にはインディアン・ローズウッドとほとんど変わらない。
[類似種]ホンジュラス・ローズウッド

・エボニー
高級指板材の代表だが、カマカでは一部カスタムモデルに使われている。
ebony
[別名/俗名]イースト・インディアン・エボニー、黒檀
[産地]インド:ビルマ:スリランカ:タイ:マラヤ:フィリピン:インドネシア:ボルネオなどの東南アジアの各諸島に広く分布。この属の樹種は200種を超える。
[樹木特性]散孔材。樹高25m。直径0.6〜1.5m。心材、辺材の色調は樹種により異なり区別の不明確な物もある。本黒檀は辺材は灰色、心材は漆黒色。スリランカや東南アジア産のものは辺材はやや灰色で、心材は灰色の縞を持ち、縞黒檀と呼ばれる。肌目は精、磨くと鏡のような光沢がでる。木理は通直、稀に浅く交錯。非常に重硬で加工は困難だが、柾面でも滑らかで仕上がりは良好。反り、曲がり、割れが生じやすいため乾燥には注意。
[仕様箇所]高級指板材だが、現在はハカランダの方が市場価格は高い。
[比重]0.98〜1.16
[平均的音質特性]ローズウッドより堅いため、音質も硬質でメリハリがある。サスティーン、アタックとも良い。吸水性はローズウッドよりやや劣るが、指板としては十分な堅さと演奏性を持つ。
[類似種]アフリカン・エボニー





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