1992年製リイシューとクラッシック


1990年に発表されたレスポール・クラッシックが好評をだったため、上位機種であるリイシューに影響を及ぼしました。
そして、同じ製造ラインで作った結果、トップのフレイムによってリイシューとクラッシックを分けていると言われるようになりました。
(ちなみに当時のリイシューは63万円、クラッシックは25万8千円、クラッシック・プラスは35万円でした)
なお、リイシューは1991年にネックの太さによって59フレイムトップ・リイシューと60フレイムトップ・リイシューの2機種に分かれました。
今回は、クラッシックと同じスリムネックの1992年製60フレイムトップ・リイシューを取り上げて、本当に同じ工程で作られているのか確かめてみます。

一方、比較するクラッシックは1991年製クラッシック・プラスを取り上げます。
クラッシックは、1991年にフレイム・メイプルを使ったクラッシック・プラスが登場し、1992年にはさらにフレイムが出たクラッシック・プレミアム・プラスが登場します。
今回、取り上げたクラッシック・プラスはノーマンズ・レア・ミュージックが販売したゼブラのピックアップを搭載したモデルです。

クラッシックはバック・パネルが黒となっていますがリイシューは未だ茶色のままです。
コントロール・ノブも、リイシューはアンバー色の濃い物が未だ使われています。

両者のヘッドストックです。
(左側がリイシュー、右側がクラッシック・プラスです)
クラッシックで採用された1弦と6弦のポスト間隔が狭く全体的にスリムなスモールヘッドです。
ペグもクラッシックで採用されたタイプが使われています。
(前年までのリイシューのペグはブッシュ側からナットで締めるタイプでした)
両者を比べてみると、トラスロッド・カバーにClassicと書かれている以外は、同じと言えるでしょう。
Lespaul modelの文字もクラッシックのmodelの間隔が狭いタイプがリイシューにも使われています。
(1993年からは、クラッシックはLespaul CLASSICと書かれるようになります)

ヘッドストックの裏側です。
こちらも、両者は同じと言えるでしょう。
ボリュート無しの1ピースのマホガニーネック(スリムネック)で17度のヘッド角です。
シリアルは製造年の下1桁一文字の後にスペースを空けて4桁のシリアルです。

カッタウェイ部分です。
均一な幅のバインディングで、トップのメイプルが見えるタイプです。
(1993年からのクラッシックは、トップのカーブに合わせてバインディングの幅が変わるタイプになります)

コントロールキャビティです。
こちらも両者はほぼ同じです。
ピックアップ・ケーブルのルーティングの穴はクラッシックの方がタイトです。
また、リイシューにはキャビティ内に黒いシールド塗料が塗られています。

ピックアップ・キャビティです。
両者の木部の加工はほぼ同じです。
クラッシックにはモデル名を表すC+の文字が書かれています。
(12/3は製造月日だろうか?)
リイシューのピックアップはニューPAFから名前を変えた57CLASSIC、クラッシックはセラミック・マグネットのハイパワータイプ(496R&500T)です。
また、クラッシックのピックガードには1960の文字が入れられ、スイッチ・ノブは透明感が強いオレンジ色の物が使われています。
なおクラッシックのポジション・マークは着色されているが、リイシューも若干色が薄いが着色されているようです。

こうして、両者を比べてみたところ、トップのフレイムの出方以外は木部については同じだと思われます。
パーツについても、クラッシックの方が新しい物を使っており、リイシューは80年代からの在庫を使っているようです。
このことから、同じ製造ラインで作った結果、トップのフレイムによってリイシューとクラッシックを分けているというのは真実であると思われます。
(日本での価格差を考えると、この時期のクラッシックはコスト・パフォーマンスが高いと言えるでしょう)
やがて、1993年にクラッシックはマイナー・チェンジをし、リイシューはヒストリック・コレクションへと進化して差別化が図られることになります。


こちらは、初年度(1990年製)のクラッシックで、ピックガードとトラスロッド・カバー交換及びピックアップ・カバーを装着してみたもの。
やや褪色したハニー・バーストと薄っすらと出たフレイムがよりオールドっぽく、個人的には派手なフレイムのリイシューの方が安っぽく感じられます。


参考までに、最近のヒストリックコレクションR0モデルも載せてみます。
(雑誌などで見飽きた感がありますが・・・)
外観はさすがにオールドに似ていて、派手な安っぽさが薄れています。

コントロールキャビティとピックアップ・キャビティです。

こちらも、オールドを良く再現しています。
でも、なんとなく優等生的で面白みに欠ける気がして、個人的には初期のクラッシックの方が好みです。
(もちろん80年代初期のリイシューモデルも、オールドに似ていなくても個性的な物が多くて好みです)


<(おまけ)レスポール・リイシューあれこれ>