ジャンゴ・ラインハルト愛用のセルマー(仏)の製作で有名なマリオ・マカフェリは、後にアメリカに渡って最初にクラリネットのプラスティック製リード(ベニー・グッドマン愛用で有名)、次にMASTRO社を作りプラスティック製ギター、そしてこのプラスティック製ウクレレを作ります。
これは初期バージョンなので、MASTRO社でなくクラリネットのリードを作っていた時のフレンチ・アメリカン・リード社製になっています。
このように1949年の製造開始時はヘッドのデザインはすっきりしていますが、1950年にパテント認可がおりると、ヘッドにV字型の模様が入りパテントナンバーやマカフェリデザインの旨が書かれます。
アイランダーはArthur GodfreyがTVで弾いたので人気がでて、なんと900万台も売れたそうです。
このウクレレには、初心者でもボタンを押すだけでコードが押さえられる「Chordmaster」という附属品がついてます。
ただし、1音高いアメリカンチューニング時代の物なので、現在のハワイアンチューニングではコードが違っています。
同様にChordmaster付属の曲集やウクレレ本体付属教則本(Ukulele Ladyが書いた)もアメリカンチューニングになっています。
プラスティック製ですが、なかなか甘く良い音で、マカフェリの設計が優れていた事がわかります。
フラミンゴ 1970年代
こちらも全天候性のオールプラスティック・ウクレレです。
60年代末にマカフェリがウクレレ製作から身を引いた時に、売却されたアイランダーの型を使って作られたのが「フラミンゴ」といわれています。
他社からもプラスティック製ウクレレは多くでていますが、マカフェリ設計なのは0フレットがあるので見分けがつきます。
こちらのChordmasterにはArthur Godfrey UKE PLAYERと書いてあり、彼のシグネイチャー・モデルだった事がわかります。
このChordmasterはすでにハワイアンチューニングになっているので現在でもそのまま使えます。
ウクレレ本体は、チューニング変更によりテンションが弱くなったため、アイランダーの表板補強のファンブレイシングからブリッジ近辺の補強ブレイシングに縮小されています。
その他に、アイランダーにくらべると、ブリッジと表板の一体成形、指板とフレットの一体成形等でコスト削減が図られています。
しかし、これらの変更による、サウンド変化ほとんど感じられません。
Applause UA-20 2001年
オベーションのクラッシック・ギターが、結構良い音なので、ウクレレが発売されたときから、ちょっぴり気になっていました。
アウトレットということで、安く売っていたので、衝動買いしてしまいました。
他にも色違いが数本あったのですが、こいつはネックがマホガニー製なのに、何故かコアと見間違えるほど強力なトラ杢が入っている点が気にいりました。
それほど音量やサスティーンはありませんが、オベーションの特徴で高音から低音までバランスの良い音です。
ウクレレぽくありませんが、なかなか品質管理が行き届いていて、楽器としてはコストパフォーマンスは高いと思います。
それから、クルーソン型のペグは意外と使い勝手がよいです。
Applause UA-20E 2005年
これもセールで安く売っており、上記のUA-20が結構良かった事もあって、もう1本購入してしまいました。
上記のUA-20と異なり、表板にうっすらとトラ杢が入ったコア材を使っておりピックアップがついています。
ヘッドやブリッジの形状が異なっていますが、マイナーチェンジがあったのでしょうか?
なお、偶然ですが、こちらもマホガニー製のネックにトラ杢が入っています。
弾き比べると、表板にコア材を使っているため、音色は普通のウクレレに近くなった感じがしますが、鳴りは悪くなっています。
同じ表板の厚さなのですが、スプルースと異なりコア材は硬いので、もう少し薄い方が振動が殺されなくて良いのではないでしょうか。
サドル下に組み込まれたピックアップは、プリアンプ無しですがボリュームとトーンのコントロールがついており、音色もそこそこ良く、オベーションの流れを感じさせてくれて、やはりコストパフォーマンスは高いと思います。
アントール ソプラノタイプ 1993年
たまたま入ったギター専門店でお客さんの一人がコレを弾いていて、あまりの音の良さに知らないブランドでありながら、衝動買いしました。
後で調べてみたところ、アントール(Antar)は個人ギター・ビルダーの青木 薫氏が1989年東京国分寺に開いた工房「青木ギター工房」のブランドだそうです。
本来は高級ギターを製作しているのですが、たまにウクレレも作るようです。
アントールのギターは年間製作数が10〜15本(個人ビルダーのなかには月間10本以上作る人もいる)というので、かなり手間をかけて作られているのがわかります。
このウクレレも、ベーシックなモデルと思われますが非常に丁寧に作られています。
材質はハワイアン・コアで、ブリッジとフィンガーボードがローズウッド、サドルとナットは牛骨です。
サウンドホールのまわりのアバロンのインレイが印象的な、とても美しいウクレレです。
明るい音色でありながら繊細な感じもあり、個人的には70年代のカマカより素晴らしいと思います。
モンタノ パイナップルタイプ 1960年代
日本製のカマカ・パイナップルのコピー・モデルです。
モンタノは名古屋にあった東洋楽器のブランドで、ピック・ギター等で有名です。
楽器屋で見つけた時は、こんなのがあったのかと感動したほど、ヘッドとボディのパイナップル・デカール(アルミ・フィルム)がカマカそっくりで泣かせます。
ヘッドの方はカマカのブルー・デカールそっくりでパイナップルの絵の上にMONTANO、下にHAWAIIの文字があります。(国産のくせに、どこがハワイなんじゃ!)
ここまでやるのだったら、指板も省略した方が良かったのに・・・
サイド・バックはおそらくラワン材、トップはスプルースです。
作りはカマカよりはるかに丁重ですが、サウンドはカマカに及びません。
まあ、見て楽しむタイプでしょうか・・・
モンタノ(カマカ) パイナップルタイプ 1940年代
上記と同様にモンタノのパイナップル・タイプです。
しかも、こちらはヘッドのブルー・デカールには何故かMONTANOでなくKAMAKAと書かれています。
このヘッドとボディのデカール(アルミ・フィルム)ですが、上記ではそっくりと書きましたが、オリジナル・カマカと比べたら寸分違わず見分けがつきません。
また、オールド・カマカの高級機種同様にボディやサウンド・ホールの周囲にロープ・バインディングがあり、ブリッジのサドルや指板はありません。
したがって、サウンド・ホール内のモンタノと書かれたラベルが無かったら、オールド・カマカで通用するほどのデッド・コピーです。
詳細は分かりませんが、ひょっとすると、カマカのOEM製品なのかもしれません。
ボディとネックはマホガニー製で、高音の抜けが今ひとつですが、サウンド的にもカマカに迫っています。
カマカ・モデル パイナップルタイプ 1950年代
ネット・オークションで見つけたウクレレです。
カマカ・モデル(日本製)となっていたのですが、カマカ・ジャパン製とは違うようなので、落札してみました。
届いたウクレレは、パーロイドのブロック・ポジション・マークが入っていて、モンタノ社の物よりは豪華な仕様です。
また、ボディだけでなく、ネック(指板?)にもロープ・バインディングが入っています。
極めつけは、ボディ内のラベルもカマカそっくり・・・ですが・・・良く見ると、上部にKAMAKA MODEL UKULELEと書かれています。
また、ラベルの下側が一部破れているのですが・・・ここにも、何か、コピー品と判る事が書かれていたのでしょうか?
ブリッジにサドルがあり・・・この点では、モンタノ社は本物と同じで、サドル無しのブリッジを再現しています。
ルナ No.400 1960年代
ヘッドのLunaのエンブレムの下にMODEL BY KAMAKAと書かれたルナです。
この標記が原因で、海外の有名フォーラムやオークション・サイトなどで、カマカジャパンのウクレレがルナで作られていたとか、カマカが日本でルナを作っていたと言われていました。
しかし、岡山のわーぼさんやMATT小林さんの調査で、全くの誤解であることが判明しました。。
ルナの社長だった鎌野福太郎氏によると、「カマカをもとに設計した」と書いたつもりだったのですが、すぐに取りやめたそうです。
確かに、MODEL BY KAMAKAと書かれものは数が少なく、お目にかかることはあまりありません。
詳細は、姉妹サイトのカマカの部屋のLunaの謎というページへ。
ルナ No.12 1960年代
こちらも、ヘッドにMODEL BY KAMAKAと書かれたルナです。
パイナップル型だと、カマカをもとに設計したという感じが判りますね。
しかし、ルナのパイナップル型は数が少なくなかなか目にすることがありません。
ましてや、MODEL BY KAMAKAと書かれたものは希少です。
ALOHA ROYAL 1960年代
Alohaはハワイの老舗ブランドでしたが、その後カマカ等の色々なメーカーによるウクレレが作られるようになっています。
後年には、このウクレレのようにALOHA ROYALと書かれたヘッド・デカールがついた物も作られるようになります。
ALOHA ROYALにはアメリカ製と日本製があうようですが、このウクレレは日本製です
中のラベルには、TOKYO STRINGED INSTRUMENT MFC.CO.LTD.と書かれており、カマカの記録にあるカマカジャパンのTokyo Stringed Manufacturing Co., Ltd.と同じ所で作られていた事が判ります。
材質やつくりはカマカのkeikiとほとんど同じのため、サウンドも同等です。
keikiと比べてかなり安く取引されているので、お買い得です。
Aloha AKー500DC 1998年
銀座で、可愛い鳥と花の模様につられて買ってしまいましたおもちゃウクレレです。
同じモデルで模様無しの若干値段の安いAKー500という物もあるみたいです。
当然ですが、Alohaといってもハワイのオールド・ウクレレとは縁のない中国製です。
(紛らわしいことに、1935年にシカゴで創業されたギター・ブランドにもAlohaというのがあります)
作りは値段相応で安っぽくボディだけでなくフィンガーボードまで合板を使っています。
そこで、汗がつくと気持ち悪いのと、音程が今一つなのでフィンガーボードは交換しました。
また、サドルとナットも貧弱なので牛骨製に交換し、ブレイシングもごついのがついていたので削りました。
それで音は良くなりましたが、作りが作りなので所詮しょぼい音です。
でも、それがおもちゃウクレレっぽくて、カマカやマーチンとは違った魅力となっています。
MAUI UK−DX 1999年
こちらもおもちゃウクレレのMAUIです。
一応MAUIブランドのトップグレードなので¥7,800ながら、ボディはマホガニー単板で指板とブリッジはエボニーを使用し、作りもそこそこ良いです。
ただし、最初に張ってある弦やサドルとナットの材質が今ひとつ、塗装も堅すぎるようで、あまり鳴りません。
(最初から付いてるペグはなかなか具合が良いです)
そこで、見た目がカマカに似ているので、60年代ゴールドラベルのカマカ・デラックス風に改造しました。
塗装はコアの色にスティンし、ネックとヘッドを薄目にリシェイプし、バインディングを巻いて、指板横とブリッジにインレイを入れ、サドルとナットを交換しました。
ついでに、インチキ・ゴールドラベルとkkデカールを貼ったら、ちょっと見には区別がつかない位の出来映え。
音もグッと良くなりました。
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Paradise PUK−1200P 1999年
上記 MAUIのカマカ風改造が結構気に入ったので、今度はパイナップル型の改造にチャレンジしました。
色々弾き比べたところ、このParadise PUK−1200Pが¥8,600の割に音がまともだったので、これを元に改造することにしました。
サイド・バックはマホガニー合板ですがトップはスプルース単板です。
例によってコア色にスティンしたのですがトップの材質の違いは判ってしまうので、初期カマカのように全面ペイントにしました。
ペイントは普通の油絵です。
その他の改造点は、指板を外しネックに直接フレットを討ち、ヘッドをリシェイプ、ブリッジをサドル無しタイプに作り直しました。
インチキのブルー・クレスト・デカールとラベルを貼って出来上がり。(あまり似てない?)
ペイントした分音が悪くなって、さらにネックが薄くなって弾き辛いです。
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SAN−X たれぱんだウクレレ TP-068 BR 2000年
たれぱんだのウクレレです。
なんとなく、たれぱんだってキャラクターはウクレレのイメージに合っているような気もします。
絵柄以外は普通のおもちゃウクレレで、これといった特徴はありません。
ボディは合板で指板やブリッジはソリッドな木材です。
音はおもちゃウクレレではマシな方かな。
他にも青色のモデルがあります。
スヌーピーウクレレ SP-078 R 2000年
サウンドホール周りにスヌーピーの絵柄とボディ右にPeanutsの文字が入っています。
見ての通りボディ&ネックは透明のプラスティック(アクリル?)で指板とブリッジがローズウッド製です。
できればオールプラスティックにして耐水性があれば海辺でも使えるのに・・と思ってしまいます。
プラスティックウクレレの先輩のマカフェリ・アイランダー等に比べると板厚があり、ブレイシングも無いので音は悪いです。
さらにネックが分厚く弾きづらく、スヌーピーを型どったペグも使いづらいです。
要するに実用には不向き、ほとんどインテリア用です。
でも、これぞおもちゃウクレレの神髄といった感じで、愛すべき一品です。
他にブルーとイエローのモデルがあります。
フェイマス FUー200C 1990年代
国産ウクレレで一番ポピュラーなフェイマスのコンサート・サイズです。
現在はこの手の普及版のコンサート・サイズは製造中止だそうです。
個人的にはスタンダード・サイズの方がウクレレらしくて好きなのですが、これは安かったので入手しました。
ボディはマホガニーの合板なので、音は今一つですが、サイズのおかげで音量及び中低音は出ます。
マーチンのコンサート・サイズと違ってラダーブレイシングを採用しています。
アントール コンサートタイプ 1994年
アントールのソプラノタイプが良かったので他のタイプにも興味があったのですが、製作本数が少ないためか、なかなかお目にかかりませんでした。
ところが我家のそばのショッピングセンターに入っているレコード屋兼楽器屋で新品のまま飾られているのを発見。
14万円という値札がついており、「たかがウクレレに10万円以上もかけたくない」というポリシーの私としてはちょっと躊躇したのですが、あっさり9万円に値引きになったので購入しました。(それでも我家のウクレレでは最高値!)
さすがに豪華で、ハワイアン・コアのボディは表裏とも単板、見事なインレイの入った指板はエボニー、サウンドホールとボディ周囲だけでなくブリッジにまで貝が入っています。
個人的には、飾りの少ない方が好きなのですが、素晴らしい職人技には脱帽します。
音は同工房のソプラノ・タイプに比べると、鳴りが今ひとつですが、マーチンの繊細さとカマカの明るさを合わせたような音色は、弾き込んでいくうちに素晴らしい音を聞かせてくれそうです。
名称不明 オモチャウクレレ 1999年
秋葉原に電子パーツを買いに行った時に見つけた1000円のオモチャウクレレです。
大きさは普通のウクレレの半分ぐらいです。
大きさが判るように写真の隅にスタンダードサイズのマーチン2Mを少し入れてみました。
完全にオモチャでネックは細く弦高も高めで弾くのはちょっと無理です。
フレットも適当に打ってあり、通常12フレットある弦長の半分が7フレットしかありません。
ボディは合板ですが、ストロークするとポロンと物悲しい音がしてなかなか情緒があります。
これも改造しました。改造後の写真はこちらへ
名称不明 オモチャウクレレ 2000年
上記のウクレレと同じ製造元と想われるオモチャウクレレ2本です。
(右端は上記ウクレレを改造した物、比較用に並べてみました)
観光地の土産物として売られていました。
少し小さいため、2本とも700円と安かったです。
ボディ・サイズだけでなくヘッド形状も微妙に違うのが興味深いです。
フレットの数は、やっぱり、テキトーですね。
TANGI ミニウクレレ 2004年
上記のオモチャウクレレと似ていますが、コア材を使った本格的な作りです。
チューニングは出来ますが、やっぱり弾くのにはちょっとつらいです。
2〜3年前から見かけるようになって、気になっていました。
ある日楽器屋に行ったら、トラ杢がバリバリに出ているのが置いてあって、ついに購入してしまいました。