もっと希少な1965年製トランジション・モデル


ご存知のように、ファイヤーバードは1965年に、リバース型からノンリバース型へモデルチェンジします。
この過渡期に、トランジション・モデルと言われる、仕様の異なるモデルが若干製造されています。
有名なトランジション・モデルは3パターンあり、リバース型ファイヤーバードTに通常ペグを搭載したタイプ、リバース型ファイヤーバードに通常ペグ搭載でP90ピックアップを2個搭載したタイプ、リバース型ファイヤーバードVでノンリバース・ヘッドのタイプです。
当時のギブソンの製造ラインは35本単位だった事から、トランジション・モデルの各タイプも35本づつ製造されたと言われています。




最初は、リバース型ファイヤーバードTの通常ペグ搭載タイプです。


一見すると通常のファイヤーバードTに見えますね。

ヘッドの様子です。

ヘッドの段付き加工が無く、なんとなくノンリバース型のヘッドに似ています。
ペグも6inLineのクルーソンとなっています。
通常、このタイプのペグは、楕円形のつまみなのですが、これはギブソン独特の2コブ・キーストーン型のツマミとなっています。

コントロール部の様子です。


流石にTだと配線がシンプルですね。
何故か、銀色のシールド塗装がされていません。

ピックアップの様子です。


ファイヤーバードTなので、ブリッジはコンビネーション型です。



続いて、通常ペグでP90ピックアップを2個搭載したタイプです。


ショート・ヴァイブローラを搭載していますが、リバース型V同様に、平たいアームとなっています。

ヘッドの様子です。

上記ファイヤーバードTの通常ペグと違って、楕円形のプラスチック・ツマミになっています。


コントロール部の様子です。



ピックアップの様子です。


個人的にはP90のサウンドってファイヤーバードっぽくないですね。
やはり60年代前半のファイヤーバード・ミニハムが好きです。
こちらも、コンビネーション・ブリッジですが、他の金属パーツはニッケル・メッキなのに、何故かクローム・メッキとなっています。

ところでこのモデル、ファイヤバードTか?Vか?と言われますが、P90が2個はノンリバースモデルのTの特徴だし、リバース・モデルでネックにバインディングが無いのもTなので、どちらかと言うとTだと思います。



そして、リバース・ボディ、ノンリバース・ヘッドのファイヤーバードVです。


ショート・ヴァイブローラはノンリバース型Vと同様に、ロング・ヴァイブローラと同じアームになっています。
<参考>
通常のリバース型のファイヤーバードVは平たいアームです。
サンバーストの色合いも異なっていて、通常のファイヤーバードVはリム部分が濃いブラウンですが、トランジション・モデルはリム部分は濃いチェリーです。




ヘッドの様子です。

リバース型の左用と同じで、段差加工ありのバンジョーペグ搭載です。

コントロール部の様子です。


ピックアップの様子です。


こちらも、コンビネーション・ブリッジで、他の金属パーツはニッケル・メッキなのに、クローム・メッキとなっています。


一般的には、ノンリバース・モデルへのモデル・チェンジは、売り上げが伸びず、製造コストがかかった事への対処と言われています。
しかし、トランジション・モデルと言われる物は、全てリバース・モデルという事から、当初はリバース・モデルの改良を目指した事が判ります。
おそらく、持った時のバランスが悪い(ヘッドが重い)という使い勝手の不評への対処だったのではないでしょうか?
そのため、通常ペグの採用や段差加工の廃止、あるいはヘッドの向きを逆にしてみたりしたのだと思います。
ついでに、マグネット2個でコストのかかる60年代前半のファイヤーバード・ピックアップをP90にする事も試したのでしょう。
しかし、試行錯誤してもバランスの悪さの改良は上手く行かなかったため、最終的に全面モデルチェンジをすることにしたのだと思います。
超レアなファイヤーバードといえば、ジョニー・ウィンター所有の3対3の通常ギブソンヘッドのXもありますね。
あれも、ヘッドの重さ対策だったような気がします。



<(おまけ)ファイヤーバードあれこれ>